健康な唾液量とは?唾液量を増やすための対策
1日の唾液量はどのくらい出るのか知っていますか?答えは1L~1.5Lです。そんな出ているの!?と思う人もいるでしょう。唾液は身体に大きな役割を果たしていて、生きていくのに必要不可欠です。
でも、実際に唾液の分泌量を図るにはどうしたらいいのか、そして唾液を増やすには何をしたらいいのかについてスマイルコンセプトと一緒に考えていきましょう。
唾液の適正量と検査方法
唾液は健康な人であれば、1日あたり1L~1.5L分泌されています。そういわれると、自分はどのくらいなのか気になりませんか?実際に自分がどのくらい唾液を出すことができるのかは、歯科医院で検査することができます。主に唾液の検査方法は2種類あります。
一つ目は、ガムテストです。ガムテストは10分間無味無臭のガムを噛んでもらい試験を行います。咀嚼によって唾液の分泌は促進されるので分泌された唾液を紙コップに集めます。正常では10分間に10mlの唾液が出てくることでそれ以下の分泌量だと低下していると言えます。もう一つは、サクソンテストです。サクソンテストは乾燥したガーゼを咀嚼して集めた唾液の量を測定する方法です。ガムテストに比べて短時間で済みます。しかし、これらの試験は唾液の分泌量の検査であって唾液の分泌機能を検査する方法ではありません。
唾液の分泌機能を検査する方法は、唾液腺進地グラフィーという検査方法があります。放射性物質を体内へ入れるため、妊婦さんや授乳中の人には使用できない検査方法です。放射性物質は唾液腺へ集められ、それを排出する過程を観察します。また、唾液腺に対して造影検査をすることでも検査することができます。
唾液の主な働き
唾液は虫歯の原因となる食べかすやプラークを排除する働きがあります。また、歯が初期の虫歯で溶け始めているのを再石灰化させ、溶けるのを止める働きがあります。これは唾液に含まれるカルシウムイオンによるもので、歯の表面の成分であるヒドロキシアパタイトにくっつくことで歯を再び健康に戻します。さらに、虫歯菌や歯周病菌に対して抗菌作用があるペルオキシターゼやリゾチームといった酵素も唾液の中には含まれています。唾液の中には消化酵素が含まれていて、胃酸で消化される食べ物を消化する助けをしてくれます。唾液の働きによって消化が促進されるだけでなく、嚥下をしやすくもなります。
唾液が減ることがある
唾液の分泌量が減ってしまうことがあります。女性に多いですがシェーグレン症候群という病気があります。シェーグレン症候群は中年の女性に多く発症し、涙腺を始め唾液腺の分泌物量を低下させます。自己免疫疾患として有名で唾液腺が破壊されて唾液の分泌が減少します。唾液が減ることで味覚障害や口内炎、食べ物が飲み込みにくくなる、などが症状としてでてきます。
糖尿病も唾液を少なくする疾患の一つです。糖尿病は尿の中に糖分が混ざって出ることがあり、その際に水分も一緒に排泄します。すると体内の水分量が大きく減り唾液に回される水分も無くなってしまうのです。事実、糖尿病の患者さんの多くは唾液分泌に伴う口腔乾燥や喉が乾くことで大量に水を飲むといったことが報告されています。
他にも、パニック障害の患者さんやうつ病の患者さんに処方されることが多い三環系抗うつ薬という薬物は副作用によって唾液の分泌低下が報告されています。抗うつ薬は自律神経に働きかけることで精神状態を保ちます。唾液の分泌は自律神経によって左右されているので、三環系抗うつ薬で乱れてしまいます。
加齢によっても唾液の分泌は低下します。加齢によって唾液腺へ脂肪組織が沈着することによって唾液を産生する機能が低下します。
唾液を増やすにできること
唾液を増やすためにはどうしたら良いでしょうか。唾液は、咀嚼とともに分泌量が増えます。なので、唾液を増やすためにはよく噛むことが必要です。咀嚼回数を増やすには食事をするときにものすごく意識しなければできないことかもしれません。食事を意識する以外には、ガムを噛むことをお勧めしています。ガムを噛むことで、咀嚼を常にしていることになり唾液腺から常時分泌されている状態を作ることができます。使用するガムは、糖アルコールが使用されているものを選ぶようにしましょう。糖アルコールは甘味料の代わりをしていて甘さはありますが、虫歯の原因になるものではないです。言い換えると、糖アルコールは「虫歯にならない甘味料」と言えます。
他にも唾液腺の機能が低下している時は、唾液腺をマッサージすることで効果があります。唾液腺のマッサージの方法は歯医者さんに正しく教えてもらうようにしましょう。間違えたマッサージをしても唾液の分泌は期待できません。また歯科医院では人工唾液も取り扱っているので、人工唾液を上手に使うことも一つの手です。人工唾液は少し気がひけるという場合は、水をこまめに補給し口の中を乾燥させないようにしましょう。寝るときはマスクをすることも口が乾燥しなくて済むかもしれませんね。