矯正歯科ブログ

歯科矯正で用いられる材料紹介 チューブ破損の際の対処法

歯科矯正で用いられる材料紹介  チューブ破損の際の対処法

歯科矯正に用いられる細々とした器具や部品には、ひとつひとつに名前と特定の用途があります。その中で今回注目したいのは縁の下の力持ち、チューブです。どんな役割を果たすもので、破損を防ぐにはどのようなことに気をつけたらよいか、そしてもし破損してしまった場合にはどのように対処したらよいか、ご紹介していきます。

縁の下の力持ち、チューブとは?

縁の下の力持ち、チューブとは?

歯科矯正装置のうち、ニコッと笑うと見える小さな四角い器具は、ブラケットと呼ばれています。ひとつひとつの歯の表面に貼り付けられたブラケットをつなぐように、アーチワイヤーという一本の針金が走っています。このアーチワイヤー、一番奥ではどうなっているのかご存知でしょうか。

一番奥の歯にはブラケットは貼り付けられておらず、その代わりに金属のバンドがはめ込まれています。バンドにはチューブと呼ばれる小さな筒状の部品が溶接されており、そこにアーチワイヤーの一番後ろの部分を通します。チューブの後ろから出ている、アーチワイヤーの残りの部分はエンドと呼ばれています。エンドは歯ぐきの方に曲げてあります。粘膜を傷つけるなどのトラブルを避けるためです。
このようにチューブは、強固な足場に立ってアーチワイヤーの一番後ろをしっかりと支える、縁の下の力持ちの役目を果たしています。

チューブの破損を防ぐためにできること

チューブをはじめ、歯科矯正装置は破損してしまうことがあります。破損により、粘膜を傷つける、清潔が保てない、治療期間が延びるなどの影響が考えられます。できるだけ破損を防ぐよう、次の点に注意してください。

食べるものや食べ方に注意!

リンゴやセンベイなどの硬いものをバリッとかじる、分厚い肉やパンをグイッとかみちぎる、といったワイルドな食べ方は装置の破損の原因になります。小さく切ってよく噛んで食べるのが正解です。ソフトキャンディ、キャラメル、ガムなど粘着系のものは避けたほうが無難です。また、氷や飴をかみ砕くのも控えましょう。

刺激を与えない!

装置をつけて間もないうちはとくに、違和感があるため気になってしまい、指や舌で装置をいじってしまうことが多いです。これが破損の原因になることも多々ありますので、できるだけ我慢しましょう。
装置の装着や調整から時間がたつと、チューブの入っている奥歯のあたりが、チクチクしたり食い込んだりしてくることがあります。これは、はじめはガタガタの歯並びに沿ってグネグネと湾曲していたアーチワイヤーが、歯並びが治るにつれてまっすぐになってくるためです。まっすぐになるとワイヤーが余ってきて、チューブの後ろに出ているエンドの部分が長くなります。その飛び出した部分が頬の内側にあたり、チクチクの原因となっているのです。
そんな時、気になるからとあれこれ無理にいじるのはやめましょう。破損の原因になります。そのままにしておくと口内炎ができたりしますので、できるだけ早く受診して、エンドを切って曲げなおしてもらうのが正解です。

チューブなどが破損してしまったら?

気をつけていたにもかかわらず、チューブなどの歯科矯正器具が破損してしまった場合、どうすればよいでしょうか。

基本は早めの受診

一番よいのは、早めに受診して修理してもらうことです。前述のように、破損をそのままにしておくと粘膜を傷つけたり、治療期間が長引く原因になります。まずは、できるだけ早く連絡だけでも入れて、指示を仰ぐとよいでしょう。
その際、鏡などで状況をできる限り確認しておくと、的確な報告ができ、適切な処置につながります。状況はたいてい、以下の2種類に分けられます。

アーチワイヤーがチューブから抜けている

何らかの力を受けてアーチワイヤーが変形し、エンドがチューブから抜ける・折れることがあります。すぐの受診が基本ですが、やむを得ない場合はとりあえず応急処置として、市販の工具(ラジオペンチなど)でワイヤーをチューブに入れなおすこともできます。また、粘膜を傷つける部分があれば切ってしまうとよい場合もあります。ただ、まずは初めに電話でもいいので担当の矯正歯科医師に対応方法を相談しましょう。

バンドが外れたり割れたりしている

奥歯にはめているバンドに問題があると、奥歯が浮いたり動いたりしているような感覚があります。こちらも担当医に早めの連絡をお勧めします。

刺さって痛い場合

装置の破損がひどく、粘膜に刺さる・こすれるなどして痛い場合は、受診するまでの間ガーゼを当てるなどして粘膜を保護しましょう。また、たいていの場合、矯正装置の刺激から粘膜を守るために専用のワックスが患者様に渡されています。これを使って一時的に固定したり、刺さる・こすれる部分を覆うようにするとよいでしょう。
ワックスの使い方は、担当の歯科医師や歯科衛生士から説明してもらうことができます。基本的には当該部分を清潔にしてからティッシュで拭くなどして乾かし、米粒大にちぎったワックスをゆっくりと押しつければOKです。

装置全体を一番後ろでがっしりと支えてくれているチューブ、ちょっとした心がけで破損を防ぐことができます。また、破損したならそのままにせず、早めに担当医に連絡するのが基本です。歯科矯正中は我慢することや大変なこともありますが、完了した時の綺麗な歯並びのことを考えて頑張りましょう。

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