矯正歯科ブログ

ホワイトスポットとは?歯にある白い点について

ホワイトスポットとは

歯の表面に、白い点々とした模様がついてくることがあります。この白い点をホワイトスポットとよびます。白い点として現れるホワイトスポットの原因はいったい何なのでしょうか。また、ホワイトスポットを治す方法には、どのようなものがあるのでしょうか。

歯の表層はどういうもので出来ているの?

歯の最も表の部分は、エナメル質という無機質で出来ています。実はこのエナメル質は、非常に硬い部分です。その硬さは骨よりも硬く、身体の中では最も硬い物質ともいわれています。

そんな硬いエナメル質ですが、むし歯になると穴が開いてくるのは、むし歯の原因であるストレプトコッカス・ミュータンスなどのむし歯菌が、乳酸という酸を産生し、歯を溶かしてしまうからです。すなわち、硬いエナメル質には、むし歯の出す酸には弱いという性質があるのです。

歯の色調は、光沢のある白い色をしています。エナメル質は、実は透明に近い色をしており、光を透過する性質があります。歯の白さとは、内側の白さであり、そして、その美しい光沢感はエナメル質のもつ透明感から生まれたものなのです。

余談ですが、保険外の被せものであるセラミック製の被せものが、自然な色具合をしているのは、セラミックの表面を透明色でコーティングしているからです。一方、保険診療の被せものや詰め物は、そうしたコーティングをしていないので、人工物感が残ってしまいます。

ホワイトスポットって何?

ホワイトスポットの症状について

歯の表層であるエナメル質に、白い点状の模様が生じることがありますが、これのことをホワイトスポットといいます。日本語では白斑(はくはん)ともよばれます。

白い点状と表現しましたが、文字通り点であることもあれば、まだらな模様であることもありますので、症状は人それぞれ異なります。気になるのは、つめたいものなどにしみたり、痛みを感じたりするかどうかですが、このような自覚症状が生じることはほとんどありません。

実はホワイトスポットは、それが生まれる原因から更に2つに分類出来ます。ひとつは、むし歯の極初期段階、もう一つはエナメル質形成不全症です。前者であれば、更に進行していくと歯に穴が生じるようになるので注意が必要です。後者であれば、そのままであっても、見た目はともかく特に健康上の問題はありません。

ホワイトスポットの原因について

むし歯の極初期段階は何が原因か

歯の最も表面にあたるエナメル質は、むし歯菌の産生する乳酸に溶かされやすい性質があります。もちろん、エナメル質が溶かされれば歯に穴が生じるわけですが、いきなり穴が開いてくるわけではありません。
エナメル質は、無機質の結晶構造をしています。健康な状態であれば、つまり、むし歯でなければ、結晶構造がきちんと整っているので、透明感のあるきれいな色調をしています。

ところが、むし歯菌の産生する乳酸に侵された場合、この結晶構造が乱れてきます。これを粗造化(そぞうか)といいます。エナメル質の結晶構造が荒くなり乱れた状態、これを脱灰(だっかい)とよびます。脱灰を受けた歯の表面は、光沢がなくなり、濃い白い色の部分が認められるようになります。

これが、むし歯の極初期段階でホワイトスポットが生まれる原因です。したがって、以前は歯の表面に白い模様なんてなかったのに、最近になって白い模様が歯の表面についてきたなと思ったら、脱灰=極初期のむし歯を生じている可能性が疑われます。

エナメル質形成不全症を防ぐには何が良いの

永久歯は、乳歯で食事をしているころから、実は顎の骨の中で成長しています。そして、時期がくれば生え変わっていきます。顎の骨の中で成長している段階で、エナメル質に異常が生じることをエナメル質形成不全症といいます。

エナメル質に異常を生じる原因としては、外傷、高濃度のフッ素の摂取、乳歯のむし歯、栄養不良、遺伝等があげられます。こうした原因により、エナメル質の表面に顕微鏡レベルの微細なでこぼこやが生じたり、エナメル質が変色したりすることで、起こると考えられています。

遺伝によるものはどうしようもありませんが、たとえば乳歯のむし歯によりおこるものは、防ぐことが出来ます。永久歯に生え変わるからと放置せず、乳歯のむし歯も早めに治すようにしましょう。

ホワイトスポットを治す方法って?

むし歯の極初期段階

むし歯の極初期段階

ホワイトスポットの原因が、むし歯菌による脱灰であれば、まずはお口の中を清潔にすることです。この段階で削って詰める必要性は低いです。唾液の中には、脱灰された歯を再石灰化する作用がある成分が含まれています。再石灰化とは、脱灰されたところが治るということを意味しています。つまり、進行したむし歯とは異なり、削って詰めなくても自然に治ることが期待出来るのです。

そのためには、お口の中をきれいにしておかなければなりません。磨き残し等の汚れが残ったままだと、それを栄養源にしてむし歯菌が活動するからです。そこで、まず歯科医院での歯の掃除をうけることで、歯の表面をきれいにします。そして、毎食後の歯みがきをていねいに、そしてしっかりと行なうことで、きれいな状態を維持します。

また、フッ素を使うことも有効です。フッ素には再石灰化を促進する働きがあります。フッ素は、歯磨き粉に含まれているものもありますが、フッ素の洗口剤などより濃度が高いものを使う方が効果的です。こうして時間はかかりますが、自然に治すことが期待出来ます。

エナメル質形成不全症

エナメル質形成不全症の場合は、自然に治すことは期待出来ません。歯の成長途上での異常が原因だからです。エナメル質形成不全症によるホワイトスポットが気になる場合は、ダイレクトボンディング法やラミネートベニア修復法などが行なわれます。

ダイレクトボンディング法とは、ホワイトスポットの部分だけを少し削って、そこにコンポジットレジンとよばれる歯の色に似たプラスチック製の詰める治療法です。簡単で、しかもエナメル質形成不全症を起こしていない部分に影響を及ぼすことがないという特徴があるのですが、経年的に変色して黄色味がかってくることがあります。

ラミネートベニア修復法とは、エナメル質の部分だけ0.3〜0.5mmほどの厚みで薄く削り、そこにセラミック製の覆いを貼付ける方法です。ダイレクトボンディング法と比べて、歯全体を同じ色であわせるので、とてもきれいに仕上がります。しかし、ホワイトスポットを起こしていないエナメル質まで削らなくてはならないデメリットがあります。

矯正治療中のホワイトスポットはどうするの?

矯正治療中のホワイトスポットはどうするの?

矯正歯科治療に新たにホワイトスポットが生じてくる場合、むし歯菌による脱灰が生じている可能性を疑います。矯正装置がついていると、どうしても歯磨きしにくくなります。そのために、磨き残しの部分等が生じてしまい、そこでむし歯菌が乳酸を産生するとホワイトスポットが出来てしまいます。

この場合は、歯みがきをていねいにすることだけでなく、歯科医師や歯科衛生士によるお口の清掃をしっかりと受けることが大切です。そして、フッ素のうがい薬などを使って、脱灰部分の再石灰化を図りましょう。

エナメル質形成不全症によるホワイトスポットであれば、矯正歯科治療が終わってから治療を行なっても遅くはありません。脱灰によるホワイトスポットが生じないようにていねいに毎食後はみがきをするようにしてください。

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