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歯並びが悪くなった理由とは?エナメル上皮腫の早期発見にもつながる矯正

歯並びが悪くなった理由とは?エナメル上皮腫の早期発見にもつながる矯正

矯正歯科では、歯並びを治す治療を中心に行なっています。矯正歯科を受診した場合は、レントゲン写真を撮影し歯や骨の状態を診断します。もし、以前より歯並びが悪くなったような気がしてきて、矯正歯科を受診した場合も同じです。

そこで撮影されたレントゲン写真に、下顎の奥歯のあたりに骨の中の広範囲に及ぶ空洞を疑わせる様な所見が認められたら、それはエナメル上皮腫という病気かもしれません。
エナメル上皮腫は自覚症状に乏しいのが特徴です。そのために歯並びが悪くなってきたことの相談で矯正歯科を受診したことがきっかけとなり、思いがけずに早期発見されることもあります。
今回は、エナメル上皮腫の影響で歯並びが悪くなることはあるのか否かについてご紹介します。

歯並びは変動する

歯並びは変動する

なかなかイメージしにくいのですが、実は歯は動いています。歯の動く幅は非常に狭いため、動いていることに気づきにくいだけなのです。

歯が動く原因には、いろいろあります。例えば、頬杖の様なクセも歯を動かします。また、歯ぎしりや食いしばりといったくせも歯並びに影響します。その他に舌を前に出すクセや、口で息をするクセなども歯並びを悪くします。
このようなクセだけでなく、親知らずが斜めに生えたために後ろから歯を押してきて、歯並びが悪くなってくることもあります。さらには、病気が原因で歯並びが変わってくることがあります。例えば、むし歯で歯が欠けたときは、欠けた部分に向かって歯が傾いてきます。
こうして歯は様々な原因で動きますが、一度悪くなった歯並びは、矯正治療をしなければ治すことは出来ません。

矯正歯科での診断

矯正歯科では、矯正治療の開始前にさまざまな診断をします。クセの有無を調べたり、レントゲンを撮影し、歯だけでなく顎の骨の状態も調べます。そのとき、顎の骨の中に、空洞が見つかることがあります。
小さな空洞であれば嚢胞(のうほう)とよばれる内部が液体に満たされた、おできの様なものであることが多いですが、中には大きな空洞がみつかることがあります。もしかしたら、それはエナメル上皮腫かもしれません。

エナメル上皮腫ってなに?

エナメル上皮腫とは、顎の骨の中に出来る良性の腫瘍の一種です。良く出来る年齢は30代とも言われていますが、10代後半から認められます。男女間に差はありません。90%以上が下顎骨、そのうちの80〜90%が奥歯のあたりに出来るといわれています。前歯については3〜10%ほどに過ぎません。
ほとんどのエナメル上皮腫は、顎の骨の中に出来ます。これを顎骨中心性といいますが、まれに顎の骨の外に出来ることがあります。これを周辺性エナメル上皮腫、または顎骨外エナメル上皮腫といいます。

エナメル上皮腫の症状について

痛みを伴うことがないため気がつかず、歯科医院でのレントゲン写真で偶然発見されることが多いです。大きくなってきますと、顎の骨が腫れてきて顔つきが左右で非対称になってくることがあります。このとき、患部に触れると羊皮紙様感(ようひしようかん)とよばれる特徴的な感覚を感じることがあります。
また、腫瘍の近くの歯がぐらついて動いてきたり、傾いてきたりするため、それによって歯並びが悪くなってくることがあります。このように歯並びが悪くなるほどに大きくなってきても、炎症を伴わない限り、痛みを感じることはありません。
レントゲン写真では、顎の骨の中に石けんの泡の様な感じで隔壁を持つ骨吸収像を示しますが、一塊の影としてうつってくることもあります。正常部分との境界は、はっきりとしていてわかりやすいです。

エナメル上皮腫の治療法について

エナメル上皮腫の治療は、全身麻酔下での外科手術が原則です。外科手術は保存的手術と根治的手術に分けられます。どちらの方法を選択するのかは、患者の年齢や社会的背景などを考慮して選ばれます。

保存的手術について

保存的手術とは、歯や顎の骨を極力残す方法です。エナメル上皮腫の場合は、開窓療法が選択されます。保存的手術は、若い女性で術後の顔貌の見た目を気にする場合や、顎がまだ成長発育段階にある年齢の方などに行なわれます。
方法は、エナメル上皮腫が出来た部分の頬側の歯肉を切開し、一部顎の骨を削り、腫瘍を見えるようにします。これを開窓といいます。そこから腫瘍を摘出し、腫瘍の周辺の骨を一部削り、取り残しがないようにします。腫瘍を摘出してできた空洞には、ガーゼなどを詰めます。
その後は、しばらくの間ガーゼを定期的に交換し、創部が治ってくるのを待つようになります。保存的手術の場合、約70%の患者に再発や悪性転化のリスクがあります。

根治的手術について

エナメル上皮腫の場合、第一選択になります。根治的手術法では、顎の骨の部分的切除もしくは広範囲にわたる領域の切除が行なわれます。これを辺縁(へんえん)切除術、区域切除術といいます。
切除により欠損した部分については、骨移植が行なわれます。この場合、腸骨を採取して移植することが多いです。また、顎の骨を切除すると、同時に歯も失うことになります。そのために、術後は入れ歯を入れなければなりません。
顎の中には、下顎管という神経や血管の通っている太めのトンネルがあります。この神経は顎の先や下唇の感覚を司る下顎神経という神経なのですが、手術によりこの神経も損傷することが大半です。そのため術後、顎の先や下唇の感覚が痺れて感じなくなることもあります。これを知覚麻痺といいます。知覚麻痺対策に神経移植が行なわれることもあります。
このように、根治的手術法では、患者の受ける侵襲が大きいのですが、保存的手術とは異なり再発は少ないです。

術後の矯正治療

術後の矯正治療

エナメル上皮腫の手術が終わったのちは、場合によっては数年にわたり、経過観察のために口腔外科に通院する必要があります。その間、残された歯の矯正治療を希望する場合は、手術の際の所見とその後の経過を考慮して判断しなければなりません。具体的には、矯正歯科の主治医が矯正治療の方針を立案し、口腔外科の主治医と病状を相談した上で決定することになります。

まとめ

エナメル上皮腫は、顎に出来る良性腫瘍の一種です。一般に良性腫瘍は、腫瘍のみの摘出術が治療法となります。しかしエナメル上皮腫の場合は、腫瘍のみ摘出しても再発する傾向がありますので、顎の骨の一部、もしくは広範囲を切除する辺縁切除術や区域切除術が選ばれます。

ただし、治療法の選択に当たっては、患者の年齢や社会的背景を考慮して慎重に選ばれます。どちらの方法を選ぶとしても、できるだけ早期に発見してなるべく小さいうちに治療した方が良いということは変わりません。

「顎が腫れてきたとおもったら、歯並びが急に悪くなってきた」そんな症状があったとき、歯並びの相談で矯正歯科を受診すれば、エナメル上皮腫が原因だった場合に、早期発見につながるかもしれません。

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